ラッピングリボン

乳がん治療記録

穿刺吸引細胞診と針生検(組織診)

前回、かなり悪いと診断された際、彼にもしも乳がんだったら『患者さんのための乳がん診療ガイドライン2016年版』って本を買って欲しいと頼んだら

「もう買えばいいじゃん。買ってあげるよ。病気を知ることで安心できるなら。がんじゃなかったならそれが一番いいんだし」

と言ってくれたので、2018年1月5日 H医科大学病院に細胞診をしに行った時には、乳がんの治療についてかなり勉強出来ていた。そして、今回も末娘が付き添いでついてきてくれた。傍にいてくれるだけでとても心強かった。

診察室に入るとO先生が待っていた。

「それじゃあ、今日の検査の説明をしますね。」

と、O先生は資料を見せてくれながら、今日行う検査について詳しく説明してくれた。

「麻酔をして組織を採る検査になりますね」

ええ~!!前回、細胞の検査と言っていたので、てっきり穿刺吸引細胞診だと思っていたのだ。

良性か悪性か判断するのに、3つの検査方法がある。1つ目は穿刺吸引細胞診で病変部に直接細い針を刺し細胞を注射器で吸い出す検査。2つ目は針生検(組織診)で一つ目の検査方法よりも太い針を病変部に直接刺して、その中に組織の一部を入れて取り出す検査。針が太いので麻酔必須。どちらもエコーで採取部位を確認しながら行われる。3つ目は外科的生検で小さな手術で組織を採取する検査。3つの違いは検査結果の正確さ。

1<2<3の順。当然、3が1番正確なのだけど、3は身体の負担が最も大きい。

私が行ったのは2つ目は針生検(組織診)だ。エコー室に呼ばれ、上半身を抜いてベッドに横たわった。左右ともエコーで念入りに検査してくれる。J記念病院の時と違ってちっとも痛くない。肌の上を滑らかに転がる感じだ。H医科大学病院のほうが進化した機械なのかもしれないと思った。エコーの検査が終わると女性の先生が入って来て

「私、乳腺外科医のAといいます。検査始めますね。麻酔します。」

麻酔は結構痛かった。針を刺す時も薬を注入される時も。でも、次第に感覚は薄れてきて針を抜くころには痛みは感じなかった。

「今から試しに機械の音を鳴らしますの聞いて下さいね。」

バチン!!ホッチキスの音を30倍くらい大きくしたような音だ。

「結構大きい音なのでびっくりして動かないで下さいね。肺に針が刺さってしまうこともありますから。」

ええ~肺に刺さる~!!そんなこと言われたら怖くて1ミリも動けませんよ、先生。と突っ込みたい心を抑え「分かりました」と返事をした。

「では、始めます」

怖いから目は閉じていたため、実際の光景は見ていない。一生に一度あるかないかの体験だから見る勇気があればなっと思いながら、さらに強く目を閉じた。針が当たる冷たい感触はするが不思議と痛みは全く感じない。

「音しますね」

バチン!!

「はい、いいですね。その調子で5か所採っていきますね」

ええ~5か所も採るんかい!と思いつつ、まあ痛くないから、いいやと思い「はい」と頷いた。5か所採り終えるとA先生が看護師にエコーを持って来てと指示を出した。

「これ、どうしよう。J記念病院でも指摘されてた病変」

A先生は、ちょっと考えすぐに看護師にてきぱきと指示を出し、私に

「乳頭の直下にも怪しい影が見えるので、こちらは細胞を採らせてもらってもいいですか?」

と聞いた。ええ~乳頭の直下に影。初耳だよ、O先生!!結局、穿刺吸引細胞診もやるんかいっ!と思いながらも、即座にお願いしますと言った。命には代えられないからだ。

「ここは麻酔がないのでちょっと痛いですよ」

と言いながら、針を刺す。

うう~痛い!!刺す瞬間から、病変部まで針が入っていく間も結構痛い。病変部に針がたどり着くと

「細胞を採るので、吸引します。針ぐりぐり動かしますよ」

と先生。ぐりぐりされると、痛み+慣れない感覚がして気持ち悪くて辛かった。一度目の吸引が終わると

「ちょっと少ないかな。もう一度吸引しますね。ぐりぐりしますよ」

細胞の量が少ないと、エラーになって検査の結果が出ないことがあるらしいので仕方ない。同じくらい痛かったのって過去の経験だと陣痛かな。いや、陣痛はもっと痛かっただろう。などと考えているうちに検査は終了した。

針生検の傷の部分2か所に絆創膏をはり、出血がひどいのでその上からガーゼをし止血用のテープで厳重にぐるぐる巻きにされた。止血用のテープとガーゼは5時間後、絆創膏は2日後に外して下さいと言われた。

検査が終わった後、思い出し緊張して、だいぶドキドキして来たので、気分転換に帰りにお好み焼きを食べようと末娘に提案した。午前10時からの検査だったが、会計が終わった頃には14時近くなっていたので、末娘もお腹を空かせているだろうと思ったからだ。

お好み焼き屋には食べ放題コースが1400円であったので、それを二人分注文した。

「すごく美味しい」とニコニコと嬉しそうにたくさん注文して食べてくれたので、その様子に私の心もすごく和んで嬉しかった。

「気に入っちゃった。また、来たいね」

と末娘。

まあ、ドキドキしていた私はせっかくの食べ放題コースだったのにミニお好み焼き(通常のお好み焼きの半分の大きさ)2枚しか食べられず、普通のお好み焼き800円を1枚注文したほうが値段的にお得だった事は、末娘の笑顔が見れたので気にしないでおこうと思った。